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第5章

人間の絆こそ心のエネルギー

──美しき情の世界──

家族の愛しあう心

家族というのは、基本的には血族の一単位です。昔ながらの家族の形というのは、祖父母がいて両親がいて子どもたちがいるというのが標準的でした。

もちろん、この通常の形が、それぞれの事情で、祖父母とは別に住んでいたり、片親だったり、一人っ子だったりと、いろいろあります。しかし、基本的には家族というのは、血のつながりがある者どうしが一緒に暮らしているわけです。

しかしなかには、心の通いあわない家族があったり、いがみあったまま、顔を合わせないまま暮らしている家族もあります。家族というにはあまりにも冷え冷えとしていて、ただ同じ屋根の下に住んでいるだけの血縁の集まりだけだという形もあります。

家族というのは、理想的にはお互いが支えあい、励ましあい、心を寄せて住んでいるという一族であるべきです。

うれしいときにはともに喜びを分かちあい、悲しみにくれる家族がいたら、みんなで慰めあい、励ましあうような家族ということです。親子で心を寄せあい身を寄せあって暮らしているというのが真実の家族です。

ほんとうは、食事はみんなそろって「いただきます」と唱和し、食卓をかこんで食事をするのがよき時代の家族です。夕食のときには、その日一日の出来事を話しあい、笑いあい、そしてときには「お行儀が悪い」と母にしかられ、父にじろりとにらまれたりしながら、母の手料理をみんなで食べます。そして子どもの記憶に「おふくろの味」が刻みこまれるのです。

家族団らんの夕食。そこには、和気あいあいとした温かい時間が流れています。同じ血をひく者だけが共有する親しみということです。現在は、そのような心温まる団らん風景が少なくなっています。家族の美しい形は日々に失われていきます。

家族の愛の欠如がもたらした子どもの引きこもりや、父や息子による家庭内暴力など、悲しい事件が続出しています。これは家族愛の喪失がもたらした結果です。

父が家族を愛し、守ります。母は子どもを命がけで守り、夫に愛を捧げます。子は父を敬い、母を慕います。このような美しい家族のあり方が失われてしまったのでしょうか?

宗教の原点は人を愛することです。家族の愛しあう心がヒューマニズムの原点です。家族に愛を注げない人間が、なんで万民を愛することができるでしょうか。博愛は家族愛から出発するのです。家族を愛し、人間を愛するのです。

家族が身を寄せあって暮らした、かつての日本人のありかたをもう一度人々は求めることはできないものでしょうか。

《 目次 》
◆第1章 悔恨と懺悔の日々
 ──天が与えた私への試練──
◆第2章 絶望からの再起
 ──自らの役割を果たすために──
◆第3章 それでも「天の声」は聞こえた
 ──反省のなかの裁判レポート──
◆第4章 人がよろこぶ行為は自分のよろこびとなる
 ──他人の痛みは自分の痛み──
◆第5章 人間の絆こそ心のエネルギー
 ──美しき情の世界──
◆第6章 使命感をもって生きる!
 ──私の考える人類救済──